犬や猫の腎不全について

犬や猫の腎不全には、急激に腎機能が低下する急性腎不全（急性腎障害）と徐々に腎臓の機能が失われていく

慢性腎不全（慢性腎臓病）があります。

急性の場合は命に関わるため、迅速な治療が必要です。

慢性の場合は、初期は犬も猫も症状がわかりにくいケースが多く、飼い主様が気づかない間に病気が進行してしまうことがあります。

腎臓の働きと腎不全について

腎臓は、主に血液中の老廃物を尿にして、からだの外に排出させる重要な機能を果たしています。また、これ以外にも血圧調整・ミネラル調整・そして新たな赤血球を作る指令を行う等生命の維持に欠かせない重要な働きを担っています。

腎不全とは、様々な原因により腎臓にダメージが加わることで腎臓の機能が低下し、これらの腎臓の働きがうまくいかなくなる状態を表します。

腎不全の症状

急性腎不全（急性腎障害）は、名前の通り「急に」起こる腎不全です。昨日まで元気だった犬や猫が突然体調を崩し、嘔吐や下痢、意識混濁などのわかりやすい症状が現れます。

一方、慢性腎不全は、数か月から数年かけて徐々に進行するため、初期症状がわかりにくい場合が多くあります。

しかし、病気の進行と共に水を飲む量が増えて薄い尿が多くでる、毛並みが悪くなる、口臭が強くなる、徐々に食欲や元気がなくなり、吐くことが増えるなどの症状が見られます。

この様な症状が見られた時には、正常な腎臓の機能が３割くらいしか残っていないと言われています

原因

急性腎不全（急性腎障害）の原因は結石による尿路の閉塞・薬剤や植物の中毒・脱水などです。また、ブドウや干しブドウの誤食は、治療しても腎不全により死亡するケースがあるため、特に注意しましょう。

慢性腎不全（慢性腎臓病）の場合は、加齢、遺伝性疾患、腫瘍、偏った食事や心臓病など他の疾患が原因で起こり、腎機能が元通りに回復する見込みはなく、徐々に悪化していきます。

診断・治療方法

診断は血液検査、尿検査、必要に応じてレントゲン検査や超音波画像診断により行われます。

血液検査では、腎機能の指標になる値を中心に評価していきます。また、腎機能の指標になる値にもいくつか種類があり、これらの値を総合的に判断

することで早期発見をすることができます。すぐに治療を開始し原因を取り除くことができれば腎機能の回復が望める場合があります。

尿検査では、尿中に排泄される成分を確認することで、腎不全の評価を行います。尿結石が原因になっている急性腎不全の際には、尿検査で結石の

元となる結晶がみられることがあります。

レントゲン検査や超音波画像診断では、腎臓自体の形や大きさの判定を行います。また、尿路閉鎖の際は尿管や尿道に詰まった結石を発見することが

できます。

急性腎不全は全身状態が悪く、治療に一刻を争うことがあります。

そのため、診断のための検査と治療のための点滴を同時に行うことが必要になります。

そして、検査で具体的な原因が判れば、それに対して集中的な治療を追加していきます。急性腎不全の場合は、早期に治療ができれば後遺症が残らず

改善できることも多くあります。

慢性腎不全の初期治療は、今残っている腎臓の機能をサポートすることで、病気の進行を遅らせることを目的としています。このため、腎臓の血圧を

下げるお薬や身体に負担のかかる毒素を取り込まないようにする薬や、腎臓jに負担のかからないように成分を調整した腎不全用の療法食を与えるなど

の治療を行っていきます。

また、慢性腎不全に気付かず進行してしまった際には、入院による点滴で全身状態を改善する点滴を行うこともあります。そして、その後も通院や

自宅での点滴治療を行うことが多くあります。

予防方法と日常生活の注意点について

急性腎不全の多くは、良質な食事を与えることや中毒を起こすものに注意するなど、飼育管理や定期的な血液検査を含む健康診断を行うことで

予防することができます。

一方、慢性腎不全は老化によって徐々に進行する病気のため、完全に予防することはできません。しかし、ご自宅での飲水量や食欲の変化に注意を

することが重要です。

また、血液検査を含む定期的な健康診断を6か月〜1年に一度受けることで、早期発見・早期治療ができる病気です。

ご自宅での愛犬や愛猫の様子をよく確認することが重要です。

まとめ

犬や猫の腎不全は、早期発見と治療が大切です。

普段から飲水量や尿量の変化を観察し、少しでもおかしいと感じたら早めに受診することを心がけましょう。